イギリス出身の覆面ストリートアーティスト”バンクシー”がNYのいたるところに毎日作品を出現させていた2013年10月1日からの一ヶ月間を追ったドキュメンタリー映画が3月より日本でも公開されています。

バンクシーダズニューヨーク

バンクシーの作品を一目見ようとファンはもちろんの事、バンクシーの騒動を利用して売名しようとするもの、バンクシーを批判するもの、中にはバンクシーの作品を転売しようとするものなど様々な人々を巻き込んで、NYの街がバンクシーによって翻弄される様子を描いている作品。

NYではグラフィティーはもちろん違法行為。世界的有名なアーティストであろうと許可なく作られた作品は警察によって消されてしまいます。

また消すのは警察だけでなく、転売目的のものやアンチバンクシーの人々の手によって作品の原型を拝めないこともしばしば。

そうなる前に一目みようと、Twitter、InstagramなどSNSを駆使して人々はNY中を宝探しかのように探し回ります。

 

こちらが一ヶ月間の作品をまとめたもの。

作品の印象に残ったのはNYではおなじみのユダヤ系スーパーマーケット「Zabar’s(ゼイバーズ)」の外壁に描かれたもの。

ショップのオーナーはバンクシーのことをよく知らないようですが、お客さんが喜ぶ、集客もできるなどという理由で透明の板を貼り作品を保護し、この騒動に便乗。こういうことを有名な老舗がやってしまうところが面白いですね。

グラフィティーは今やアートのひとつとして認識されていますが、NYでは1970年代ころからさかんになり、地下鉄の車両や街中に描かれたグラフィティーアートはNYの名物的風景になっていたのではないでしょうか。しかしそれらストリートアートが人々に認識されればされるほど取り締まりが厳しくなり、アーティスト達の活動の場は次第に少なくなっていったようです。

そんな中、ブロンクスのグラフィティーの聖地と言われるファイブポインツ(5pointz)というビル全面が壁で覆われた場所は合法的に自由に活動でき、グラフィティーのメッカと呼ばれていました。

ブロンクス、マンハッタン、ブルックリン、クイーンズ、スタテンアイランドの5つの行政区がひとつになるという意味でファイブポインツ名付けられた場所です。

バンクシーがNYに来ていた2013年10月の翌月にはビル全面が白く塗りつぶされ、2014年に解体作業が始まり取り壊されてしまいます。

この騒動で新たにブッシュウィック(Jefferson St付近の様子)が注目され始めたりとNYでのグラフィティーシーンは日々移り変わっています。

世界的に有名な人物”バンクシー”によってニューヨークのグラフィティーシーンは良くも悪くも世間の注目を集めた結果、人々の目は自然と5pointzにも向けられましたが、皮肉なことに5pointzの取り壊しは中止されることなく実施されたしまいました。

バンクシーやグラフィティーに興味があろうがなかろうが、こういった騒動に対して喜怒哀楽を表現するニューヨークはエキサイティングな街だなと再認識するとともに、人々の注目を集めながらも活動の場が消えてしまうストリートアートの儚さを感じ取れました。

ちなみに過去にはバンクシー監督のドキュメンタリー映画が公開されており、NYが舞台ではないもののMr Brainwashという謎のアーティストが有名になっていく様が描かれています。

なんともシニカルな仕上がりでこちらも合わせてどうぞ。


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