ニューヨーク市の5つの行政区のひとつである「Manhattan(マンハッタン)」の基本情報です。旅行や留学でニューヨークを訪れる際、だいたいの地区を把握しておくととても行動しやすいと思います。

ニューヨークを代表する観光名所、タイムズスクエア、五番街、エンパイアステートビル、セントラルパーク、MoMA、メトロポリタン美術館、グランドセントラルステーション、ウォール街、など多くの名所がマンハッタン内に点在しニューヨークの中心地とされています。自由の女神があるエリス島の一部もマンハッタン区内です。

地区について

マンハッタンは基盤の目に作られており、初めて訪れた方でも標識を追っていけば迷うことが少ないとても散策しやすい街の作りです。縦にアベニュー(Ave.)という通りがあり、横にストリート(st.)が走っています。

マンハッタンは大きく分けるとハーレム、アッパーイースト、アッパーウエスト。ミッドダウン、ダウンタウンに分かれます。アッパーサイドに挟まれる形でセントラルパークがあります。

さらにもう少し細かく分けて主要な各地区を解説していきます。

Harlem(ハーレム)

黒人が多く居住しているイメージのハーレム地区は元々はオランダ人を中心とするヨーロッパから来た移民の居住地であったそう。その後1900年代の「Great Migration」(アフリカ系アメリカ人大移動)によって南部から移り住んだ黒人文化(「ハーレム・ルネッサンス」「ニグロ・ルネッサンス」などと称されます)が育まれた。
地区はウエストハーレム、セントラルハーレム、イーストハーレムと分かれており、数々のエンターテイナーを輩出してきた「アポロシアター」がある125th st.がハーレムのメインストリートで観光するならこの辺りがおすすめです。当店からのおすすめのお店は125th st.にあるHarlem Shake(ハーレムシェイク)。味はもちろん内装もいけてます。
またハーレムといえば忘れてはならないのがマルコムXの存在。
マルコムX通り(レノックスアベニュー)、マーティンルーサーキング通り、フレデリック・ダグラス通りと名付けられた通りもあります。レノックスアベニューは1920年代の禁酒法時代に全盛期を迎えた高級クラブ「コットンクラブ」があった場所でもあります。
ちなみにラッパーの2pacも西海岸のイメージですが出身地はニューヨークのハーレム。彼の両親はハーレムを拠点に活動していた黒人を中心とした政治活動団体ブラックパンサー党でした。

黒人文化の歴史が深く刻まれている一方で2000年代からはヒスパニック系の住民も増えており、再開発など発展が加速し新たなハーレムが作られ始めています。

Upper West Side(アッパーウエストサイド)

NEW NEW YORK CLUB

セントラルパークをはさんで西側に位置するアッパーウエストサイドはミッドダウン、ダウンタウンで働く中〜高所得層が住まう住宅街が中心のエリア。ユダヤ人も多く住みユダヤ系スーパーとして有名な「Zabers(ゼイバーズ)」は観光客にも人気のスーパーマーケット。オリジナルグッズも揃っているのでお土産を買うのにもおすすめのお店です。映画「ユーガットメール」のロケ地としても使われています。

アッパーウエストサイドは住宅街ながらも映画のロケ地としても有名なスポットも多く、ジョン・レノンが住んでいたことで有名な「ダコタ・ハウス」はロマン・ポランスキー監督の「ローズマリーの赤ちゃん」やウディ・アレン監督の「ハンナのその姉妹」その他にも「バニラスカイ」などで使われており、「ナイトミュージアム」の舞台になった自然史博物館もアッパーウエストサイドにあります。

また総合芸術施設である「リンカーンセンター」があることによって、オペラやバレエなどの文化・芸術的な拠点として捉えれれることの多いエリアでもあります。

Upper East Side(アッパーイーストサイド)

アッパーイーストサイドといえば高級住宅街として有名なエリア。海外ドラマ「Gossip Girl(ゴシップガール)」の舞台となっており、多くの施設や店舗がロケ地として使われており、ドラマのファンなら一度は訪れたいエリアではないでしょうか。その他にも「Sex And The City(セックスアンドザシティー)」やトールマンカポーティーの小説「ティファニーで朝食を」などの舞台にもなっており、ニューヨークの煌びやかな世界を象徴するエリアです。

まさしく「Gossip Girl(ゴシップガール)」の世界のような富裕層の子供達が通う私立の学校がいくつも点在しています。ちなみに「Gossip Girl(ゴシップガール)」もモデルとなっている学校はナイチンゲール・バンフォード校で、原作者の母校だそうです。

住宅街、学校の他には美術館や博物館も多く、メトロポリタン美術館(MET)、アメリカ自然史博物館、グッゲンハイム、ジューイッシュミュージアム(ユダヤ博物館)、ニューヨーク市博物館などが五番街沿いを中心に点在しています。

またショッピングを楽しむ五番街はアッパーイーストからミッドタウンにかけての通りで、言わずと知れたオードリー・ヘップバーン主演の映画「ティファニーで朝食を」の冒頭シーンでおなじみのティファニーなど高級ブランドのショップやバーニーズやバーグドルブ、サックスフィフスなどのデパート、プラザホテルなど高級ホテルが立ち並んでいます。ちなみにあのトランプタワーも五番街にあります。(主にミッドタウン側です。)

ミッドダウン寄りの五番街が中心ですが、冬のホリデーシーズンになるとイルミネーションや豪華なショーウィンドウの飾り付け、ロックフェラーセンターのクリスマスツリー、スケートリンクなど歩いているだけで楽しめます。サックスフィフスのプロジェクションマッピングも素敵です。アッパーイーストからミッドダウンエリアにかけてウィンドウショッピングを楽しむのもいいのではないでしょうか。冬は特におすすめです。

Central Park(セントラルパーク)

東西をアッパーイーストサイドとアッパーウエストサイドに、南北をミッドタウン、ハーレムに囲まれた「セントラルパーク」はおよそ3.41 km²で皇居のおよそ3倍ほどの広さの巨大公園。数々の映画のロケ地として使われており、ニューヨーカーのオアシス的存在、芝生でピクニックやヨガを楽しんだり、公園の周囲をジョギングやサイクリングをして楽しむこともできます。また園内メトロポリタン美術館の西側にある「デラコルテシアター」(野外劇場)では毎年夏になるとシェイクスピア作品の無料で鑑賞できる機会があり早い時間からそのチケットを求め列ができます。

また園内にはスケートリンクや池、湖、彫刻や建物などが多くあり、小規模動物園「セントラルパーク動物園」もあり、日本でも村上春樹氏が翻訳している(キャッチャーインザライ)のでご存知の方も多いかもしれませんが、サリンジャーの小説「ライ麦畑でつかまえて」にも登場する。ちなみにこの小説はクリスマス前のニューヨークが舞台となっており、その他にもメトロポリタン美術館などが登場します。

セントラルパークが正式開演したのは1876年。19世紀都市化が進むニューヨークに自然の必要性が重要視され始め、当時不法居住者が多くいた地域を整備し約20年ほどかけて建設されたアメリカ初のランドスケープパークがセントラルパークです。

Mid Town(ミッドタウン)

マンハッタンの中でもアッパーエリアとセントラルパークより南側からグリニッチヴィレッチとイーストヴィレッジより北側のエリアがミッドタウンとされています。世界的に有名な観光名所が点在し、主要なところでいうと以下の施設が挙げられます。

  • タイムズスクエア
  • エンパイアステートビル
  • マディソンスクエアガーデン
  • ロックフェラーセンター
  • MOMA(ニューヨーク近代美術館)
  • カーネギーホール
  • グランドセントラルステーション
  • プラザホテル
  • タイムズスクエア
  • ブライアントパーク
  • ハイライン
  • ラブスカルプチャー
  • チェルシーマーケット

特にタイムズスクエア付近は観光客を中心にニューヨークの内でも一番人が多く集まるエリアで、年末にはカウントダウンイベントが行われ世界中から人が集まり大変混雑することで有名です。今でこそ夜中でも観光客が出歩けるエリアですが、かつて1970年代〜80年代はとても治安が悪く、薬物中毒者や売春婦、マフィアなどが蔓延ったエリアでした。フィクションではありますが、映画「タクシードライバー」や「真夜中のカウボーイ」でその様子がよくわかるかと思います。

各名所には見所や時期によって風景が変わるなど見るべきポイントを押さえておくとより楽しめるかと思います。

例えばグランドセントラルステーションであれば、正面の大きな時計はティファニー製のもの。ティファニーで作られた時計の中で一番大きなものだそうです。映画のロケ地としても多くの作品に使われており、「北北西に進路をとれ」「メンインブラック」「恋におちて」などなど・・ドラマ「ゴシップガール」の一話でセリーナが徘徊するシーンもこのグランドセントラル駅内です。

またミッドタウンエリアを歩いていると必ず目に入る大きな建物”エンパイアステートビルディング”はイベントシーズンや記念日などでイルミネーションの色が変わりますので、訪れた際は見てみると良いかと思います。

Down Town(ダウンタウン)<Lower Manhattan(ロウワーマンハッタン)>

ロウワーマンハッタンはマンハッタン島の14丁目(ユニオンスクエア付近)より南側からブルックリンブリッジまでのエリアを差し、主な地区としてはグリニッチヴィレッジ、ローワーイーストサイド、トライベッカ、リトルイタリー、チャイナタウン、ソーホー、ウォール街などがあげられます。また「ワールドトレードセンター跡地」もロウワーイーストサイドの南端に位置し、現在はワンワールドトレードセンターが立っています。

現在は、経済の中心地、住宅街、ショッピングエリアなど様々な側面を見せ、治安の良いエリアへと変化していますが、各エリアは短い歴史の中で様々な変化を遂げてきました。

グリニッチヴィレッジ

エリア内にはNYU(ニューヨーク大学)やワシントンスクエアパークがあり、高層ビルがほとんどなく落ち着いた雰囲気の街並みです。かつては安い家賃から多くのアーティスト達があつまりボヘミアン文化が生まれカウンターカルチャーの中心地でもあり、現在のように治安の良いエリアではありませんでした。また、1960年代の同性愛運動の発祥と言われるゲイ・バー「ストーンウォール・イン」はかつてウエストヴィレッチのクリストファー通りにあり、現在でもゲイタウンとして有名です。また1960年代にはジャズクラブやライブハウスも多くあり、ボブディランも当時グリニッチヴィレッジで暮らしていました。その当時の様子はコーエン兄弟監督作品、オスカーアイザック主演の「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」がおすすめです。

ローワーイーストサイド

アルファベットの頭文字をとって通称「LES(レス)」と呼ばれるエリア。現在は高級ブティックやレストランが増え、急速に治安もよくなってきていますが、かつてはバワリー付近を中心に全米切ってのスキッドロウ(浮浪者街)と化していました。現在はコンテンポラリーアートを中心に展示する美術館「ニューミュージアム」が建ったり、セレクトショップ、スケートショップなどが増えアート、ファッションの面でも楽し若者が多く集まる街へ変化してきています。ファッションやストリートカルチャーに興味のある方は買い物におすすめの街です。ちなみにアーティスト「Kaws」と「Nike」がコラボしたバスケットコートもLESにあります。

トライベッカ

トライベッカはキャラルストリートの下側の三角地帯 (Triangle Below Canal Street)の頭文字から名付けられました。かつてグリニッチヴィレッジに多くいたアーティスト達が家賃の高騰でソーホーに移り住み、さらにソーホーの家賃が高騰したため、1970年代頃トライベッカに移ってきたと言われ、どちらかというと産業系の建物が多く寂れた街だったそうです。しかし、現在は高級住宅地への変貌を遂げ、多くの有名人やセレブが居住するファッショナブルな憧れの街へと変化しています。ニューヨークまた9.11以降にスタートした「トライベッカ映画祭」は俳優のロバート・デ・ニーロはトライベッカ出身ということもあり、デ・ニーロ氏らが主催となり毎年トライベッカにて開催されています。

ソーホー

日本でもファッションの街という印象が強いのではないでしょうか。高級化により多くのアーティスト、デザイナーは別の街へ移っていますが、ギャラリーやブティックは多数残り、ショッピングエリアとして有名なエリアです。

リトルイタリー

かつてイタリア系移民が多く居住した地域ですが、現在は近隣のチャイナタウンの勢力によりアジア系移民も多く居住するエリアです。19世紀半ば頃にイタリア系移民の人口はピークに達、イタリア系マフィアの暗躍も盛んだったようです。ニューヨークのイタリア系マフィア映画は多くあり、「ゴッドファーザー」「グッドフェローズ」「レオン」「ギャングオブニューヨーク」などがおすすめです。

チャイナタウン

隣のリトルイタリーまで勢力を伸ばしつつあるマンハッタン最大のチャイナタウンは中国語が飛び交い、漢字の看板が多く目に付きます。安く本格的な中華料理店も多数あり、アメリカ料理に飽きてきた頃に立ち寄ると少しほっとするような食事にありつけるかと思います。かつてはイタリア系マフィアに対して中国系マフィアも暗躍したようです。

ウォール街

アメリカ最大とも言える金融街であるウォール街はマンハッタンの南端に位置します。歴史は古く、1792年に材木の取引の為に商人や投資家があつまったのがきっかけにニューヨーク証券取引所が生まれたと言われています。かつてワールドトレードセンターが建っていたエリアです。映画「ウォール街」や「ウルフ・オブ・ウォールストリート」「マネー・シュート」「アメリカンサイコ」の舞台となっています。

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